「イムリ」考

 今さらながら最近になって三宅乱丈の『イムリ』(最新13巻)を読了した。無論、数年前から一部の好事家の間では話題になってはいたが、なかなか通読する機会がなかったためである。

 改めて読むと、ある種の異常性を感じさせる漫画である。勿論良い意味でだ。私は三宅乱丈の作品を初めて読んだのでそう思うのかもしれないが、女流作家らしい線の柔らかさと作品の世界観があまりにも乖離していて、ちょっと一見さんを寄せ付けない異常性を放っている。しかし、3巻くらいまで進むと、三宅乱丈のタッチがこの異世界の空気と実にシンクロしている事に気が付かされるのである。

 作品に重ねるのならば、3巻くらいから読者が三宅乱丈の精神世界と「でろでろする」という感じになるのだが、兎も角、昨今の軽薄な萌え系のSFアニメばかり見ていると脳が腐りそうになる現状からすると、「イムリ」の世界は異常なほど突出した輝きと妖しさに満ち満ちている。

 「イムリ」の世界観は、白人とインディアンの対立をオマージュしているようにも思えるし、その中間者である主人公・デュルクはナウシカのようでもあり「もののけ」のサンの様でもあるが、事はそう単純ではない。とにかく、この作品の魅力は読者が三宅乱丈の世界と「でろでろする」事ができるかどうか、という一点に尽きよう。でろでろできれば熱心なファンになるし、出来なければ獣化…もとい「なんか好かんわ」という風になる。かなり読者を選ぶ作品であることは間違いはない。

 「でろでろ」って何?と強い関心を持った方は、是非本作を通読されたい。


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東京のインド人街「西葛西」を行く


 東京江戸川区の西葛西付近が日本有数のインド人街になっているというので行ってきた。何故西葛西にインド人が多いのか、という直球の質問についての回答はこちら
【江戸川区】西葛西がインド人街になっている件 何故西葛西にインド人が多いのか?
 等を参照されるとして、一節にはこの地区だけで2000人ものインド人が暮らすという街。西葛西と言えば地下鉄東西線の一駅としての印象しかなかったのだが、たしかに降りてみるとインド系が多い気がする。

 そんな中、最も有名(?)と思われるインド料理店・スパイス・マジックカルカッタ本店に行くが、テレビ報道の影響か満員(写真)で入店を断念。代わりに南口のハリ に行った。ここはインドでも北インド料理の店。しかし私には、広大なインド亜大陸の、東西南北で料理がどう変化するのか知る由もない。店員さんも正真正銘北インドの出身者で固められているようだ。在日インド人にも地域によって若干派閥があるのであろうか。この店はボリュームの割に安い。非常に美味い。おすすめである。

 定住外国人というと中国・韓国が常套句のようになって久しいが、西葛西のインド人街も忘れてはいけない。私は暫く、西葛西に通うことになりそうだ。


店内に掲示されたカシミールがちゃんとインド領の「真性インド地図」。

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あの糞映画「アルゴ」がアカデミー賞をとった件について

 2012年10月30日のエントリーで映画「アルゴ」を酷評したが、この映画が第85回アカデミー作品賞に輝いたというのだから驚きである。
http://d.hatena.ne.jp/aniotahosyu/20121030

 「アルゴ」は1979年のアメリカ大使館占拠事件を元にした実話。事実上の人質と成った6人を映画のロケハンに扮して救出するという話である。以下、10月30日のエントリーを一分引用して構成しよう。

 この映画を観ていて徐々に怒りが湧いた。なぜならこの映画では徹底的にイラン人を土人、野蛮人として描き、アメリカ人を無辜の犠牲者、として描いているからだ。さすがベン・アフレック、「パール・ハーバー」の日本人描写から進歩がない。

 なぜホメイニがイラン革命を起こしたのか。なぜイラン民衆がそれを指示したのか。パーレビをアメリカが支援したのはなぜか。このへんの説明が全くないまま、「野蛮で馬鹿なイラン人に捕まった6人を救え」という筋書き。たしかに空港でのシーンはハラハラどきどきするが、そうまでしてイラン人を追いやったアメリカの帝国主義には一言の言及もないのか。「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」で感じたアメリカ人の無謬性を疑わないあまりにも傲慢な描写に吐き気。こんな考えだから後の9.11に繋がるんではないのか?その異教徒・イラン人を見下した思想こそが中東に反米、反イスラエルの旋風が巻き起こった温床なのではないのか?

 挙句の果てにこの映画の最大の失点は、カーターを英雄視しているところ。あのう、カーターってこの事件の救出作戦が失敗して大統領再選できなかったんですけど。作戦失敗の経緯はとことん無視である。韓国並に都合の悪い所は黙殺の歴史観か。

 ベン・アフレックは脳みそまで筋肉でできている典型的なアメリカの馬鹿の象徴のよう人間だということだけは分かった。のにもかかわらず、今回本作が作品賞に輝き、会場ではオバマ大統領夫人が作品賞受賞を読み上げるという「政治的」なパフォーマンスすら加わっている。醜悪の度合いが増している。明らかにアメリカの対イラン政策を反映したもので、本日の朝日新聞でも「史上最も政治的なアカデミー賞であるとイラン当局が皮肉った」と出た。

 アカデミー賞が政治に屈したのか、はたまた別の理由があったか。勿論、映画作品を政治的な色眼鏡で批評するのは邪道である。邪道ではあるがしかし、それを覗いたとしても「アルゴ」は映画的にそもそも陳腐である。6人の軟禁状態に置かれた米国人が映画の役者に扮するために色々と嘘の脚本を暗記したりするのだが、結局それをしようとしまいと空港での脱出劇は一か八の運否天賦で、アフレック扮するCIAの工作員が何のために演技指導を熱心に施したのか意味がわからない。三谷幸喜だってこのへん、もっと面白おかしく脚色するはずだが、それもない。結局、「イラン人の馬鹿を運良く騙した話」それ以上でもそれ以下でもない。

 特定の国や国民をこれほどまでに馬鹿にし、卑下するような描写はそもそもアカデミー賞の理念に反するのではないか?こんな糞映画が作品賞を記録するとは、今回のアカデミー賞、後世の歴史家が「世紀の誤審」と記憶するに違いない。

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バレンタインは「非常時思想」で乗り切れ!

まあた嫌な日がやって来たと悶々としている男子諸君も多かろうと思う。そう、今日はバレンタインである。バレンタインが明治製菓やCIAの陰謀であるとかそういう事を書くつもりはない。例えそれが事実であったとしても、日本国憲法と同じく嫌でも押し付けでも、慣習として機能しているものを打破するのは現実的ではないし、第一疲れる。バレンタインという制度そのものを消極的に是認した上で、それをどう乗り越えるかを考えたほうが建設的ではないか。

私が高校時代、バレンタインの前2日が慌ただしくなった。例えば2月14日が日曜日や祝日だったりすると、実質的な「ばれんたいんでー」は銀行の営業日と同じく繰り上がるからである。そういった暦の上での偶然は1回だけあったと思うが、ほか2回は学校の登校日と重なった。

不肖私など、放課後無意味に校内をウロウロするなど、「哨戒」と称した期待行動をとっていたわけだが、今思うと実に馬鹿馬鹿しい、本当にどうでも良い思い出である。

現在、会社や学校でバレンタインのその日を迎えている男子諸君、何の苦労もしないのにチョコレイートで両手がいっぱいになるような不逞の輩は、どうせつまらない女と結婚して、倖田來未のCDをかけながら夜な夜な家族でドン・キホーテに向かうような休日を過ごすタイプになるのだから心配しなくとも良い。若しくは住宅ローンで酸欠状態の金魚のように水面付近でアップアップしている様な無味乾燥の人生を送る程度の人間だと考えれば気も楽になるであろう。

必要なのは「非常時思想」である。中国軍の火器管制射撃レーダー照射事件を筆頭に、すわ戦争かいま戦争かのこの非常時にバレンタインデーなどやっている暇があるのか。いや無いのである。

「ぶゎれんたいんでぇー??この非常時に何事か!」の精神こそ今最も求められる姿勢だ。明日にでも、今日にでも敵の銃弾でやられると考えてみよ。後数日で敵軍が浜辺に強襲上陸してくると考えてみよ。チョコなど食っている場合ではない。もし貴殿の周辺の女子がチョコが云々の話をしているならすかさず割って入り、「この非常時に何事か!」の一喝で四海波静かである。常に常在戦場の決意で居なければならない。(…などとケンペーくんならいいそうである)


ならやたかし ケンペーくん より


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AKBは日本の癌である


丸刈りにして男性交際を謝罪する峯岸さん

ナチス占領下のフランスでナチ将校と交際関係にあった女性を解放後に「懲罰」と称して丸刈りする民衆


怒りで頭が切れそうになった。AKBの峯岸ナントカさんが、エグザイルのイケメン俳優とお泊りしていたことについて、丸刈りで謝罪する映像がYoutubeに投稿、あまつさえAKBの公式サイトにその動画が転載されていた一連の問題である。

事の経緯は他のサイトのほうが詳しいので省く。動画を見て真っ先に思い出したのがナチス占領下のフランスで、ナチ将校と交際関係にあった仏人女性を解放後に「懲罰」と称して丸刈りする民衆の映像である。峯岸さんは「(丸刈りは)自発的に決めて行ったこと」としているが、それがAKB公式サイトに転載されている時点でAKBとその首領秋元某がこの行為を追認し、動画が公開された後の反響も含めて黙認することにGOを出したと容易に想像できるではないか。そして一寸考えたらわかるが、なまじ売れっ子のスターが誰に許可を取ること無く丸坊主にするわけがない事など大人の常識でわかろう。この騒動は個人のした奇行とか、最早そういう問題ではない。

あまりのネガティブな反響に件(くだん)の動画は2月2日で公式サイトから削除されたそうである。アイドルが男性と交際することの是非とか、今日日(きょうび)の20歳位の女子がどうのとか、アイドルに求められる処女性がどうだのとかそういう事を言っているのではない。こんな、如何に芸能人といえど日本女性の人権と誇りを平然と蹂躙する動画が載せられているAKBという団体そのものに、余りにも禍々しい狂気を感じたのである。「この動画が公式サイトに掲載されたら、世界の人々はAKBを異常と思わないのだろうか」という想像力が秋元やその周辺に無いところが益々その異常性を際立たせている。その思考の垂直性が益々カルト臭を醸し出している。

早速海外から反響があった。「AKB48の峯岸みなみさんの謝罪を報じた外国ニュースへの海外での反応」というのがわかりやすくて良い。その反応は一言で言うと、「日本はどうかしている、怖い」というもので、日本が狂った国だと自ら進んで国際的に宣伝・認知させているようなものだ。他の先進国(アジアを除く)でアイドルが男性と交際することはスキャンダルにはなっても何か懲罰を受けるということはない。万が一あったとしてもそれは「丸刈り」という恥辱を伴った行為には発展しない。あたり前のことだが、異性との交際は「罪」ではないからである。罪ではない事に「罰」を以って報いる、という発想は「ユダヤ人の存在自体が罪である」といって強制収容の罰を与えようとした(実際に与えた)ナチの思想と重なる。反ドイツ的だとか退廃的だとか難癖をつけて、罰を与えようとする。本来はそれ自体が価値観や道徳やモラルや或いは民事上の問題(ですらない場合も多い)なのに、なにか刑事的犯罪であるかのような印象を植えつけて「懲罰」を与える。恐ろしいファシストの思想だ。この本来は罪に当たらない行為に「懲罰」という概念をまだ幼さの残る若い女性に課して、何か得意満面になっている連中がいるのだとしたらそれは余程歪んだサドか丸キ以外の何者でもない。

100歩譲ったとて、峯岸さんの「単独犯行」だったとしても、逆に自ら進んで「懲罰」に帰依し、進んでAKBという団体に帰順する態度をビデオに撮らなければならないと20歳の女性に思わせるという程、AKBの同調圧力は異様に強いと推察される事だ。まるでオウムの信者が尊師に許しを乞うために行う激しい荒行や自傷行為と瓜二つである。単独であろうが半強制であろうが、どちらの説をとっても「団体規制法」の適用があってもおかしく無い程、やはりこのグループとそれを取り巻く周辺環境は病的な異常性を醸し出している。

我々は常日頃中国の民度が云々、韓国の民度が低い等といっているが、海外から見れば「嗚呼野蛮な東洋の国、人権意識の低いアジアの国なんだな」と思われても致し方ない。こういう狂ったアイドルグループとその首領秋元を、我々はテレビメディアなどを通じて、有形無形の声援で以って増長させてしまったことについて深く反省しなければならない。

UHA味覚糖の「ぷっちょ」のCMは気持ち悪いという程度のものだった。小林よしのりが「AKBは大東亜共栄圏!」と言い出した時には「遂におかしくなったのか」という程度だった。流石に今回の丸坊主は「その程度」とかで簡単に括れない日本の恥であり、最早AKBが日本の癌であることを認めなければならない時期に来ている。

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「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」の異常さ

現在絶賛公開中の3D映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」について。観ました。異常です。何が異常かというとそれは虎の可愛さ。3Dの虎が異様に可愛い。堪らない。ミーアキャットも出てくるのだが、これも堪らなくカワイイ。顔をペロペロしたり耳を舐めたり一緒にお風呂に入ったりしたい。基本、海も動物も全部CGなのだが本当に素晴らしい技術。動物好きには堪らない一作である。

さて作品の出来はというと、さすがアカデミー賞11部門ノミネートだけある。「アカデミー賞最有力」は頷く。実は本作、観た人ならわかるのだが「虎と漂流する話」ではない。そんな簡単な話ではない。

人は、世界は、驚くほどの残酷さと残虐さで満ちていると思う。時としてそれを率直に表現するのがためらわれる程に。神も仏も居やしないのか。そう絶望する人を我々は責められようか。しかし、本作が示す「それでも人に、微かな希望がある」というテーマに私は涙した。

繰り返すがこれは少年が虎とサバイバルをする話ではない。我々はここまでの経験はしなくとも、自分の住む国の中にすら凄惨な残酷があることを知っているし、そしてまだ知らぬ地獄の存在も予感することができる。ただ、そこに寄り添う希望の存在にも私は目を向けたい。結局、光は人の中にしか無いのだ。

本作のタイトル、「ライフ・オブ・パイ」に2つの意味がある。主人公の少年がパイという名前なのでその伝記。もうひとつは円周率のパイだ。割り切れぬ、延々に答えのない物語。その一方で、ずっと続く、終わりなき旅の物語でもあろう。私は人の持つ、か細くも限りなく続く希望の光を本作で信じた。

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医薬品ネット販売判決から考えるネット蔑視思考

 医薬品ネット販売訴訟について最高裁で国の上告が棄却され、確定した。*http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0111/ym_130111_1611542266.html記事 2009年の改正薬事法の施行以降、3年ぶりにして事実上ネットでの医薬品販売が復活する。既にヤフーなどが販売復活に向けて動いていると言う。時間は掛かったが素晴らしい判決だと思う。

 2011年だったか、TBSラジオのdigで、評論家の荻上チキ氏の回でこの問題が話題になり、薬剤師の堀美智子という人がゲストで呼ばれていた。彼女は元薬剤師会理事の経験もあり、終始徹底してネットを見下した意見を口にしていたのを今でも覚えている。要するに、「ネットで情報を得るような奴は馬鹿が多いので、我々薬剤師という専門家が彼らの危険な行動を諭し、教導しなければならない。だからネット規制は必要だ」という論を展開していて、流石の見下し思考に荻上氏も反論していたように思う。

 堀のような思想は単なる専門屋の思い上がりという範疇ではなく、「上からの近代化」がまだ有効だった石炭時代の根本的な発想と同じである。要するに、少数の教育を受けたエリート階級が存在して、そのエリートたちがその他の大多数の愚民に、良質で洗練された情報や知識を上から普及することによって国の発展を計る、という思考である。大学進学率が1%とか5%だった昭和初期や高度成長時代なら兎も角、国中に高度ネットワークが張り巡らされ、大学進学率も50%を超え全入時代と言われ、学ぶ意欲があれば社会人入学や放送大学や本屋や図書館がある現在、堀の言う「洗練された一部のエリート専門家集団」と「ネットで1類医薬品をショッピングカートに入れる人」の差は縮まってきている。「ネットの情報だけで薬を買う奴は馬鹿だから」という理屈は、基本的にこの石炭時代のエリート論を基調としている思考だ。

 そもそもかつて「先生」や「聖職」と言われた政治家や学校教員に目も当てられぬほどの馬鹿と、人格や性癖が歪んでいる奇形犯罪者が溢れかえっているのだから最早、石炭時代のエリート論は何処にも通用しない。

 最近、ネットを馬鹿にするのが流行っているようだ。SAPIOの「ネトウヨ亡国論」とか、週刊朝日の「安倍晋三ネトウヨ」とか、小林某の「2ちゃんねる便所の落書き」「ネットは社会的底辺」とかいうのがその典型だ。そういう事をいう人はどこか自分のことをエリートだと思いたいのだろう。しかし本当のエリートは人を馬鹿にしたり見下したりはしない。なぜなら圧倒的に優れているから、人を貶したり人と比較する必要がないほど強者だからである。富裕層が「私は大変な金持ちです」と叫んだりしないのと同じである。中途半端な貧乏人ほどブランドに拘るのに似ている。

 自分は本当のエリートではなく、本当のエリートにはなれない中途半端な二流であるというコンプレックスが何処かにあって、どうしても「ネットが馬鹿」だと言わなければ精神のバランスが崩れるのであろう。適度ならば良薬だが、過度なコンレックスは人を歪める。青春時代、目立たず辛いことが多かったのだろう。人を見下すことに快感を覚える人間ほど、哀れな人はいないと思う。

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