時事アニメ評論

「風立ちぬ」批評〜宮崎駿が描いた美しい日本/宮崎駿は左翼ではない〜

※当記事に基本ネタバレはありませんのでご安心を(笑・光と闇の戦前日本こそ美しい「風立ちぬ」を公開初日に観た。この作品の中で、宮崎駿は戦前の日本を実に美しく描いた。それは、青々とした水田であったり、日本家屋で統一された町並みであったり、レンガ…

「伏 鉄砲娘の捕物帳」評

文藝春秋万歳!ということで、「伏 鉄砲娘の捕物帳」評である。本作は2012年10月公開であるが、劇場で見ようと思っていて逃したのでつい最近リリースされたばかりのDVDで鑑賞した。本作は非常に不幸な作品である。同年の7月には細田守の「おおかみこどもの雨…

庵野監督、疲れちゃったの?エヴァQ評

例えて言うならひどい船酔いになった気分。これが私がエヴァンゲリオン新劇場版:Qを見終わった後の率直な感想である。前作「エヴァ破」から約3年を経て待ち望んだ続編の印象は、「膨大なCGグラフィックという名の巨船の中でひたすら上下左右に揺さぶられ…

「おおかみこどもの雨と雪」評。生は喜びで満ちている

さてさて、見に行ってきました。細田先生の「おおかみこどもの雨と雪」。早速ですが第一印象は「号泣メン!」。もう涙が止まらなかったよママ。その理由は後述するとして、全体の印象はテーマ的には「もののけ姫」へのアンチ(柔らかい意味での)、そして映…

2012年のご挨拶

正月三箇日の最終日にご挨拶を書くのは恐縮ですが、新年のご挨拶を申し上げます。今年も何卒宜しくお願いします。 これも2011年の大晦日にエントリーするべきだったが、2012年のスタートに際し、2011年の個人的トップニュース5を掲載したい。 1.東日本大震災…

そして「喪失」から立ち上がる人々〜『あの花』評

この期に及んで漸く『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』(あの花)を全部見ようとは、周回遅れの行為でありアニオタ失格である。とはいえ、単行本執筆で目が回る忙しさだあったのであり、勘弁して欲しい。 本作については、敢えて余り多くを語るべ…

子供を馬鹿にするガンダムAGEを糾弾する

何がビビったかというと、今日偶然テレビをつけていたら目に飛び込んできた「ガンダムAGE」の余りにもな酷さである。今日が第2話だということであるが、数分が経過するまで私はこれを「ビーダマンか何かの亜種の新番組」だと思い込んでいた。これが漸く…

欲望のない若者…「とある飛空士への追憶」評

そういえばこの前、テアトルで「とある飛空士への追憶」を見てきたから評をしようと思う。例によって激しくネタバレになるのでご注意下さい。 まず原作は読んだことはないのだが、異世界の書き込みは比べるのは可哀想だが王立宇宙軍の足元に及ばない。それは…

魔法少女まどか☆マギカと原発事故

・コンビニの店員がまどマギ談義 魔法少女まどかマギカ(新房昭之監督)を今見終わったのであります。最近、コンビニの店員(男二人)が接客をよそに本作の解釈を喧々諤々でやっていたのを盗み聞いて、いよいよ本作が一般公衆に浸透しているのだなと肌で感じ…

ヤマト、発進せず。アニオタが観た”SPACE BATTLE SHIP”

さて、読者諸兄ももうご存知であろうが、TBSが総力を結集して製作した木村拓哉主演の”SPACE BATTLE SHIP ヤマト”が12月1日から公開されている。無論、アニオタとしてはある種の義務感と共に見に行かざるを得ないわけであるが、先日、某テアトル大森にて鑑賞…

細部に宿る「カラフル」。原恵一監督「カラフル」と援助交際問題を考える。

*テアトルダイヤにて告知ポスター。平日昼間なのに満席の壮挙! 原恵一監督のカラフルをテアトルダイヤに見に行って来た。無論、前評判の高い本作であるから当然期待は膨らんでの鑑賞である。平日昼間(公開より4日後)だというのに、池袋のテアトルダイヤ…

『宇宙ショーへようこそ!』〜修学旅行なんか無い大人たちへ〜

2010年6月13日、小惑星探査機はやぶさ、60億キロの前人未到の旅を終え、地球帰還。同月、日本、ワールドカップ南アフリカ大会8年ぶり16強進出。どうも6月はいろいろな事が起こりすぎて濃密な月であったが、読者諸兄に於かれてはこの梅雨の時期(北海道地方を…

ノイタミナ渾身の大傑作!『四畳半神話大系』をみよ!

GWも終わり、廃墟のベトナムを「ミッキーマウス・マーチ」を歌いながらただただ行進すると言うS・キューブリック『フルメタル・ジャケット』のラストばりの虚脱感を感じつつ、読者諸兄はポスト・GWを如何様にお過ごしであろうか。 さて、当ブログでは再…

遂に完結!たぶん日本一早い東のエデン劇場版2評〜テアトル新宿舞台挨拶レポ&考えうる最良のラスト〜滝沢朗=「国民クイズ」K井K一論!

さあ、遂に神山健治監督の『東のエデン』が完結を迎えるわけである。途中、劇場版2は公開を延期されると言うファンにとっては喜んで良いのか悲しんで良いのかの事態を迎えつつ、漸く漸くこの傑作アニメの完結するその瞬間を己の眼にしかと焼き付けんと、管…

吉浦康裕監督*劇場版『イヴの時間』評〜人間性の普遍〜(特別連続更新)

さて、さる3月11日、テアトルダイヤ(池袋)にて吉浦康裕監督の劇場版『イヴの時間』を鑑賞してきたわけである。管理人はGYAO(USEN)で公開されていた15分×6話のシリーズバージョンを未観である為、それを踏まえた上で軽く本作を評させて頂きたいと思う。例…

3月の愉悦〜イヴの時間と東のエデン劇場版2 Paraise Lost〜

1月ハイチ,3月チリ,そして沖縄・台湾…と何やらプレートから軋みが聞こえてきそうな昨今、読者諸兄は如何お過ごしであろうか。さて、3月6日からは「イヴの時間」が公開され、同13日からは「東のエデン劇場版2 Paraise Lost」公開と、アニオタ的には映画館をめ…

ノイタミナラインナップ AR記者発表〜twitter連動,そして新しい時代の幕開け〜

さて春一番が吹いたとか吹かないとかの昨今、読者諸兄は如何お過ごしだろうか。先日2月21日(日曜)、フジテレビ「ノイタミナ枠」の記者発表が内田洋行の「ユビキタス協創広場 CANVAS」にて行われた。 ○〜以下記事引用〜マイコミジャーナル「フジテレビ"ノイ…

押井守監督『アサルトガールズ』〜フード理論と押井守〜09年末特別更新(2/2)

さて、09年末特別更新に付き日付をまたぎ連続更新である。ゼロ年代も残すところあと20数時間!。やはり09年の締めくくりは押井守監督の最新実写作品『アサルトガールズ』で良いのではないかと思い、12月30日にテアトル新宿にて鑑賞してきた。 *テアトル新宿…

ピクサー最新作『カールじいさんの空飛ぶ家』〜思い出との決別/アニメ版グラン・トリノ〜(09年末特別更新1/2)

嗚呼、ゼロ年代が終わっていく…。と言うことで読者諸兄はこの年末如何お過ごしだろうか。さて、「マイマイ新子」の余熱も冷めやらない年末でありますが、ゼロ年代の終焉までこのまま無為に終わるアニオタ保守本流では御座いません。と言うことで、年末も年末…

『マイマイ新子と千年の魔法』〜しかし、すぐそこにある希望〜【局地的大ヒットにつき続映を望む】

遂に観に行ってきました、片渕須直監督の『マイマイ新子と千年の魔法』。鑑賞館は12月19日〜26日まで限定公開される東京都杉並区は阿佐ヶ谷の「ラピュタ阿佐ヶ谷」。しかし、この作品を観るまでに如何に管理人が過酷な艱難辛苦を乗り越えたのかと言う、北朝…

特集〜迷った時は文化庁!国家お墨付きの優良アニメリスト「文化庁メディア芸術祭」〜

さて、早いもので今年最後の12月も既に半ばに差し掛かろうとしている。今月が終わる時それは09年の終わりという事だけではなく、00年代の終焉をも意味する興味深い最終月になるであろう。世界を震撼させた2001年の9.11テロに始まり、アフガン・イラク、そし…

立見続出!満員御礼!日本一早い『東のエデン劇場版I The King of Eden』評

*(写真左)テアトル新宿の入り口には畏れ多くも神山健治監督直筆のサイン入りメッセージボードが展示されている!必見!ちなみに腐女子とは縁も所縁も無さそうなお洒落女子3人組が滝沢朗の顔ポスターを記念撮影していたが、監督直筆のメッセージを差し置い…

そらのおとしもの〜本当の国辱とは?パンツが空を飛ぶ〜

さて、私が「国辱もののアニメがある」という話を聞いたのは、ネットラジオ界の老舗『BSもてもてラジ袋』の09.10.17放送でのことである。アニメ・「そらのおとしもの」は今年10月から放送開始された作品であるが、その作品のEDにて”パンツが空を飛ぶ”という…

高まる期待〜東のエデン 劇場版総集編air communication〜

さて、気がつけば早くも『第九』が聞こえてきそうな季節となった昨今、読者諸兄はいかがお過ごしであろうか。今月(11月)と言えば、言わずもがな月末に2009年最後にして最大となるイベントが待ち構えていると言うことは、読者諸兄にとって最早何の説明も必…

超大作?『仏陀再誕』観ました!〜宗教とアニメーション〜

いま(09年10月現在)、ナウでヤングな巷の若者たちの最先端のファッション・ムービーと言えば何か?と問われたならば読者諸兄は何と答えるであろうか?「あなたは私の婿になる」「ココ・シャネル」「私の中のあなた」等と答えた読者諸兄は今すぐファミリー…

ノイタミナ「空中ブランコ」に注目(本気度100%アニメ)

今期のアニメは面白くないなぁ、等と嘆いたばかりであるが早速訂正をば致したい。10月15日より開始された我らがフジ・「ノイタミナ」枠の『空中ブランコ』というアニメに注目が集まっている。何故注目が集まっているのかと申せば、それは今朝の産経新聞朝刊…

グイン・サーガと獣の奏者エリン〜NHKアニメワールド〜

さて、10月に入りアニメも改変期になっているわけであるが、特に今期のアニメでは注目するものは無いなぁ…と思う次第であるから、個人的にNHKで放送中の2作品を取り上げたい。一つ目は、NHK総合の深夜帯(木曜24:45〜)でスタートした栗本薫氏原作の超大作…

追悼・臼井儀人先生〜ドラえもんを超えた国民アニメ〜

読者諸兄も既にご存知のとおり、国民的漫画「クレヨンしんちゃん」の作者、臼井儀人先生の遺体がさる20日に荒船山(群馬・長野両県)で発見された。より正確には9月11日に「登山をする」と告げ行方不明になり、家人より捜索願が出されていた臼井先生の遺体が…

宇木敦哉監督『センコロール』にみる動画革命東京の包容力

さる10日、テアトルダイヤ(池袋)にて宇木敦哉監督作『センコロール』を鑑賞した。聞くところによると、東京都が支持母体の総合アニメプロデューサー事業『動画革命東京』の全面協力があったとは言え、ほぼ宇木敦哉氏のソロ作品である。尺は30分と短いが(…

日本一遅いエヴァ新劇場版”破”批評〜想像力を超えて〜

テアトルは〜我々文化の母でありぃ〜(大友克洋/画、矢作俊彦/作『気分はもう戦争』より中国へ向かう日本人義勇兵の台詞風) と言う訳で6月27日公開のエヴァンゲリオン新劇場版”破”をさる9月6日、シネセゾン渋谷(テアトル系)にて鑑賞した。何故、アニオタ…