日本最後の希望プロダクションIG〜ソフトコンテンツは100万の兵に勝る〜

 さて、ゼロ年代が遂に終わり新しい年代の幕開けから早10日経った。読者諸兄は如何お過ごしであろうか。さて、新年早々めでたいニュースが飛び込んできたので是非とも皆様にご紹介申し上げたい。


東のエデン劇場版1』 公開38日で興収1億円突破(アニメ!アニメ!10.01.07)

        • 引用始め----

 2009年11月28日から全国公開されているアニメ映画『東のエデン 劇場版1 The King of Eden』が好調である。公開から38日目を迎えた1月4日に、劇場累計興収が1億円を突破したことが明らかになった。
 この数字は1月4日までに同作を公開した全国劇場10館の合計で、期間中の動員数は7万5647人、興収は1億80万円になる。映画の公開は7館でスタートしており、10館以下興行として異例の好成績となっている。

 映画は現在も引き続き上映中、さらに1月16日からはユナイテッド・シネマ新潟、1月23日から山形・ソラリス、1月30日から茨城・シネプレックス水戸、京都・みみ会館、福岡・シネプレックス小倉、2月13日からTOHOシネマズ長崎、そして春には広島・シネツイン本通り 福山ピカデリーなどでの上映も決定している。ロングラ作品として、まだまだ興収を上積みすることになりそうだ。
 また、3月には、年明けから予告編の上映を開始した第2部となる『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』も公開される。『The King of Eden』の勢いをそのまま第2部につなげることになりそうだ。


 我らがプロダクションIGにとって非常に喜ばしいニュースであると共に、「東のエデン」と言う良作の最終的な大成功がこれで確定したわけである。延期になったとは言え、3月公開の「2」が待ち遠しいところである。

 さて、プロダクションIG(3791,以下IGポートとも)と言えば何を隠そうこの管理人は同社の個人株主なのであるが、当然のこと株主であるならば長期ホルダーであっても日々の株価は気になるところである。折角なので同社のここ1年における株価チャートをご覧頂きたい。

 ここ1年では下値35,000円、上値65,000円の範囲内での値動きと言った所だろうか。直近では上記『東のエデン』効果を期待して再び反転の兆しを見せていることが分かる。しかしながら、やはり株主の贔屓目で言うわけではないが、PBR0.48倍(10.01.08現在)というのがどうしても不当な評価のような気がしてならない。PBRとは、和訳すると「株価純資産倍率」である。これは会社の総資産に対する現在の株価の価値を示したもので、もしPBRが1.0倍であるなら、現在の会社資産と株価が同価値であることを意味する。このPBRが1.0を切っていると言うことは、簡潔に述べると「会社を解散して資産を株主に分けた方が事業を継続するよりも価値が高い」という暴論を述べている事にほかならない。現在のIGポートはPBR0.48倍であるから、IGポートを解散してその資産を株主に分配すると、現在の株価価値の2倍以上の価値アリ、と市場から言われているのと同じ状況である。これは極めて不当な評価に他ならないのではないか。無論、PBRは将来の赤字による資産の目減りを考慮しなければならないので、IGポートが将来大赤字が続いたとしたら実質PBRはもっと高まるかもしれないが、それにしても例えば東映アニメーション(4816)のPBRは約0.8倍と、まぁまぁの評価がされているのに比べれば不当極まりないと思う。

 私は経済の素人であるからあくまで雑感であるが、リーマンショック以後の日本株は他の先進国に比べて出遅れておリ、IGポートのみならず他の多くの上場企業は例え優良企業であってもPBRが1.0を切っている会社は多い。しかし、事とりわけIGポートに関しては、ほとんど無借金経営であり、不動産・版権等を始め会社資産も潤沢であるからこのPBR評価はどう考えても何か株価のテクニカル的な結果ではなく、単に投資家がIGポートとそのアニメに対して無理解・不勉強であることが何よりの原因ではないかと思う。先に述べた東映が株価的にまだマシなのは、ファミリー向けの「ワンピース」等、アニメ的リテラシーがさほど高く無い人にも訴求力が極めて高い作品を手がけているからであり、例えば押井守監督のファン層と投資家が必ずしも重複しておらず、真にIGポートの作品的価値を理解するアニメファンが市場に少ないことが真因ではないだろうか。

 そもそも、短期的な売買益を追求するような機関投資家やテクニカル的投機に偏重する外国人投資家は、「攻殻機動隊」「イノセンス」等押井監督の代表作を始め、上記の「東のエデン」「獣の奏者エリン」「精霊の守り人」等近年のIGポートの良作を体系的に視聴した上でIGポートを適正に評価しているとは到底思えず、単に財務指標や株価のテクニカル的分析のみを盲目的に追求した結果の刹那的で浅い評価に終始しているとしか考えられない。真にIGポートの作品を愛し、IGポートが手がける世界最高レベルの作品群に心酔した上で、そもそも我が国アニメ界全体の長期的展望を視野に入れてIGポートへの投資を是非ともオススメしたいのである。


 バブル崩壊以後、我が国が最も得意とした輸出産業の花形、自動車・半導体等の高度製造業は軒並み厳しい状況にある。加えて「失われた10年」を代表に国内経済の長期停滞も相まって、内需産業もデフレと人口減少で成長が見込めず、日本経済の長期的展望は決して明るいものではない。しかし、唯一日本の長期的な輸出産業としてのクオリティに耐えうるもの、それがアニメであると管理人は確信している。日本のアニメは、CG技術と言う意味ではピクサー等の方が上かもしれないが、その重厚なアニメ文化的背景に支えられた高い脚本力、緻密な世界設定、魅力的なキャラデザインと劇的で効果的な画面演出の構成力は、正しく我が国アニメ界が世界最高の水準を誇っておリ、その筆頭が我らがプロダクションIGIGポート)である事は議論の余地が無い。

 中国・韓国を始めアジアの新興国に於いて、如何にアニメ制作会社が勃興しようとも例えば「イノセンス」に迫る映像センスを彼らが構築するには最低でも20年30年の歳月が必要であろう。何故なら、アニメ作品のクオリティーは、その国(共同体)のアニメ・漫画文化の歴史的蓄積に依存するからである。中国経済GDPベースで日本経済を追い抜き、また中国海軍が航空母艦を建造し、海軍力で日本に迫ろうとも、アジアで最も長いアニメと漫画の歴史(いや漫画に関しては世界最古か⇒鳥獣戯画・鳥羽僧正)を誇る我が国を改革開放10年20年の蓄積しか無い国が追い抜くことなど白昼夢同然である。中国産のアニメが、時折日本の某有名アニメの劣化トレースであると話題になるのは、中国人が意図的に日本アニメをトレースしているのではなく、むしろトレースしかできないからであり、その理由は前述のとおりアニメ・漫画の文化的蓄積の有無にほかならない。

 去年(09年)のTBSラジオ週刊デジタリアン」で、週刊アスキー編集長の福岡俊弘氏が実に興味深いこと仰っていた。「いま、日本のアニメと漫画のブームのせいで、海外で日本語学習者・日本語話者が飛躍的に増大している。かつて日本は第二次大戦中、アジアにおける欧米植民地を占領し、そこで日本語教育の普及に傾注した。しかし、結果的にそれは失敗に終わった。いま、アニメ・漫画と言う日本発のソフトコンテンツの席巻によって、かつて成し得無かった海外における日本語教育の普及が成されている。ソフトコンテンツの力が如何に強大であるかが分かる」と。

 福岡俊弘氏の言うとおり、かつて日本は第二次大戦に於いて、大東亜共栄圏を掲げアジアにおける欧米植民地を占領し、被占領地に於いて現地人に対し日本語教育を行った。この第二次大戦中、日本はインドネシア(蘭印)、インドシナ仏印)、フィリピンを始めとする南方方面の占領と維持に約60万人以上の地上兵力(南方軍)を投入した。当然のこと、日本の敗戦によってその目論見は瓦解するのであるが、戦後に於いても日本語が根付かなかったのは、それはやはり大東亜共栄圏と言う思想が正しいとか正しくないとかそういうことではなく、軍事的な背景を基礎とした強制力を伴う占領政策の一貫に終始したからに他ならないのではないだろうか。

 いま、アジアを始めとしてヨーロッパに於いても、先述の通り日本語教育や日本語話者が増大している。彼らは、誰に強制されること無く、進んで日本語を学び、喜んで日本語を話している。これは、正しくアニメーションと言う名のソフトコンテンツは100万の兵に勝る、ということを如実に物語る事実ではないだろうか。

 我々はただの一発の銃弾も、一人の戦死者も、一滴の血も流さずとも第二次大戦中に日本占領軍が行った日本語圏の開拓を遥かに凌駕する成果をアニメーション(若しくは漫画)と言うソフトコンテンツによって実現している。正しく、ソフトコンテンツの浸潤力は強大な軍事力をも凌駕するのである。こんなにも平和的な文化浸潤が他にあるであろうか。

 日本製のアニメ、若しくは漫画をして日本語や日本に対して親近感を抱くであろう海外の『アニメ同志』(そういえば拙作・日本一硬派なアニメオタク診断も、特に台湾や香港等海外からの参加者も大変多く感銘を受けました、ありがとうございます)は、益々増えて行くに違いない。その海外輸出の先頭に立つのが、我らがプロダクションIGであることは疑いようが無い。我々が海外を旅したとき、彼ら海外の『アニメ同志』とのコミュニュケーションの端緒が日本製アニメである機会は益々増えて行くことに違いないであろう。その際、肝心の日本人のアニメオタクが昨今時流の「萌えアニメ」ばかりの知識に偏重して彼らのアニメ的興味に応えられないようであれば、それは日本人として大変恥ずかしいことであるから、そうなら無いよう肝に銘じておかなければならない。

 締めくくりに、このような日本の数少ないアニメ輸出の先頭に立つIGポートの株価が、当の日本国内に於いて決して正当に評価されないのは憂うべきことである。IGポートの株価的評価が、正当に評されるのは良心的でハイクオリティなアニメ文化がコアなファンやオタクだけではなく、広く社会一般に認知されるかどうかの、我が国に於ける文化的成熟度のバロメーターであると言っても過言ではないであろう。読者諸兄にあっては、是非とも大変お手頃な値段の今のうちに(10.1.8現在,1株43,350円)IGポートの株を手にいれることを強くお勧めする。IGポートの株主であると言う意義は、単に個人投資家の端くれであることを意味するのではなく、保守的で良心的なアニメオタクであることのなによりの証であると私は思っている。



「日本には核兵器も攻撃空母も戦略ミサイル原潜も無い。しかしアニメあり。アニメは撃破されない。アニメは沈まない。アニメは滅びない。アニメこそ最強の文化兵器である。…アニオタ保守本流


 ※IGポートは毎年株主優待があり、ちゃんと配当も出ます。⇒直近の優待の詳細はこちらの当方記事へ(10年度の株主総会・2010年夏は出席の予定、09年度は夏風邪で断念、08年度は大阪に住んでいたので断念)


*関連ブログ
第20回IGポート株主総会レポート(エイバースの中の人)
IGポートが55000円以下になると考えている人は素人です(エイバースの中の人)


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1月中旬アップロード予定
第11回放送『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(収録済)
第12回放送『もののけ姫』(収録済)
第13回放送 お題作品未定

2月予定
放送回未定『東のエデン』(ゲスト招聘予定)

2010年よりニコニコアニメ夜話は更なる飛躍を目指し、量産体制に入ります!無論クオリティーはそのまま!
その為、メインパーソナリティ・アニオタ保守本流のソロトークが中心となります。今まで通りゲスト招聘の回あり。
新年度より益々パワーアップしたニコニコアニメ夜話をどうぞよろしくお願いします!
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