古事記1300年ナイト参加報告(〜保守派の限界を超えて〜)

 さる2月11日(土曜日)、慶応義塾大学の学生さんらが主催する「KOJIKI 1300 PROJECT Live at Vanity」(六本木ロアビル13F club Vanity)に取材を兼ねて参加した!開場は超満員の大盛況であった。


開会に際して武楽の演舞が行われた。


竹田恒泰× 李闘士男デトロイト・メタル・シティ監督)対談 マイクのせいか、ちょっと聞き取りにくかったのが残念。


なんと猪瀬東京都副知事トーク


古事記終演後に激写!左から4番目が竹田恒泰


来賓である大阪国際大学久野潤先生を激写!


主催者の一人、和装女子と記念撮影(手に持っているのは竹田恒泰氏の著書)


六本木ロアビルから外を撮影


私の他にも、中外新聞社などプレスも多数おり、開場は立錐の余地もない程の人人人…この「古事記1300年プロジェクト」は、前述のとおり慶応義塾大学の学生有志らがその主催者として企画したイベントだが、2月11日の紀元節を期してその当日に行われたものである。もちろん、小難しい(?)古事記の講釈などはないが、「日本は世界で最も古い国」「今年は日本が誕生して2672年です…」など肝心のところはMCの学生有志が押さえている。

 私はこのイベントに参加して感じたことは、まず「学生主催のイベント」と聞くと反射的に「何このリア充共が!」とアレルギーを起こしていた昔の自分はもう遠くにあった、という事である。この手の学生主催のイベントは、今回のようにクラブハウスを貸し切ったり、パーティー形式にしたりと図らずも軟派な雰囲気を醸し出していて、私はその昔そういったものに拒否反応があった。しかし私が歳を取ったからだろうか。若しくは寛容になったからだろうか。今回はそういったルサンチマンは起こらなかった。それどころか、近頃の大学生はこういった大規模なイベントをやるのか、すごいなぁとその企画力と行動力の高さに感嘆したことにある。今回のイベントは学生1,000円(ただし和装をすると無料)、社会人3,000円だが、私には十分な余韻を以って終了したイベントであった。

 大学生が主催するイベント系のサークルというのは、「環境」「反戦」などありきたりな常套句を歌いつつも、その実は単に馬鹿騒ぎしたいだけの何の企画性もないイベント(殆ど合コンに近い)が常である。私の偏見かもしれないが、事実そうだった。しかし今回の「古事記1300年イベント」からはそのような「邪念」は感じられなかった。武楽・ダンス・トークセッションといったホールショーの中に、「古事記1300年を祝う・考える」という明確なコンセプトが感じられたのである。

 確かに今回のイベントで「愛国心が足りない!」等とお怒りの方も居たのではないかと思う。「保守系の集会」と言われるそれのように「天皇陛下」「君が代斉唱」といったある種「定型句」は今回のイベントは一切なかった。しかし、開場に立錐の余地もない程の客を集めたという事実はどうか。今回のイベントに集った客の中には「古事記」を読んだこともない、所謂「保守思想」の素養もない人間も確実に多かったと思う。しかしそれでも会場に足を運ぶ人の多かったことは、「古事記ナイト」の醸しだす「予定不調和」にこそあったのではないか。大学教授や有識者が滔々と「神話としての古事記が…」「日本建国神話と神武東征…」を語るイベントであったら、今回のような「ぬるい」一般客は集まることは決して無かったであろう。それはいままでの保守派の集会やイベントがある種の「予定調和」に終始していたからに他ならず、そこにこそ私は表題の通り旧来の「保守派の限界」を垣間見たのであった。

 昨今の保守派のデモ行進や集会でも、なんとか集客しようとあの手この手の工夫をしているのは、それに参加した私自らが実感として感じるここ1年程度の変化である。決してそれらを批判したり否定したりするつもりではないが、しかしそういった数々の工夫や変革への兆しの中にすら、「六本木のクラブを貸しきって行う」というその発想自体、存在しなかったのだと言って良いだろう。慶応義塾大学の学生はそれを易々とやってのけ、しかも上記のように興行的に大成功した事実を我々保守派と言われる人間は重く受け止めなければならないのではないか。

 眉間に皺を寄せ、愛国・国防・反朝鮮を叫ぶ各種の抗議集会は確かに有意義であろうが、残念ながら小さな範囲での拡散効果しか無いのは、そういった集会に参加した諸君ならばひしひしと感じることであろう。私は2011年のフジテレビデモ以降、同種のデモや集会の参加人数が加速的に沈んでいったことに一抹の虚無感を覚えていたのであるが、その理由が今回のイベントによって鮮明化した気がする。つまりは「予定調和」に飽きてしまったこと。それから、ひたすらに「愛国」「護国」を叫ぶのみでは、一定以上の「層」以上への拡大と拡散がどうやら困難であるという事実が明らかになったことに対する虚無感である。

 こらからの保守派の集会やイベントは、今回の古事記プロジェクトの大成功を念頭に置きながら、所謂「保守派・愛国者のイロハ」が出来ていない人間にも、広く知らしめることが重要になってくると私は確信した。その為には「華やかさ」と「予定不調和」の試みをするしか無いであろう。先に述べたように、「華やかさ」と「軽薄」は一見、紙一重の関係にあるように思える。しかし今回のイベントがそうであったように、企画力があれば「華やかさ」は微温的な保守層や、中道層にも確実に「訴えかける何か」を有するエネルギーになろう。二次会はクラブハウス「f Bar」で行われたが、古事記参加者は無料で、こちらも気の利いた演出といえる。

 早々に六本木を切り上げて松戸まで26キロの道のりを帰宅(ランニング!)するとき、ヘッドフォンのFMラジオで「今年は皇紀2672年で…」という番組MCの言葉が聞こえる。別に愛国的な番組ではない、ごく普通のFM音楽番組である。愛国や日の丸、天皇陛下云々を叫ぶこと無く、フラットに親しみやすく、かつ華やかにこういった日本の伝統価値を伝えることは、今後、保守派がサヨクから「単なる好事家」と言われることなく、一種の「社会層」へとボリュームアップしていけるかどうかの試金石になろう。人間は他人が楽しそうな事をしていると自然にそこへやって来る。少なくとも私は、今後自らが開催する予定のイベントではそれを心がけたい。





拙著『フジテレビデモに行ってみた! -大手マスコミが一切報道できなかったネトデモの全記録』(青林堂 980円)


『フジテレビデモに行ってみた! -大手マスコミが一切報道できなかったネトデモの全記録』特設サイト⇒http://www.furuyatsunehira.com/fdi.html

NEW私の公式サイトが出来ました!
⇒古谷経衡公式サイトhttp://www.furuyatsunehira.com/


☆アニオタ保守本流ブログランキング参戦中*木戸銭代わりにクリック願います!↓↓

banner_02.gif


貴方に是非ともやって欲しいアニオタ診断:
★日本一硬派なアニメオタク診断 http://kantei.am/55866/