カルトアニメ批評1「オウム真理教・超越世界」

 10月初旬から更新していなかったのは何故かって?弁明申し上げよう。10月に入って程無いある日、ふと思い立って東北本線に乗った。行き着いた日本海側のうらびれた漁村で商人宿の所在を地元の少年に訪ねると「おらん家だ」と言うので付いて行く。すると「ゴホン、ゴホン、おい、きけねのか」などと異常に咳き込む主人と貧しそうな子供が2人、明らかに民家以外の何者でもないその「宿」とやらに、なし崩し的に泊まる事になった。というのも、何か口実をつけて外に出ようとすると女将さんが靴を片してしまっていてどうすることも出来なかったのである。夕食はイカの刺身を中心としたもので、透けて見えそうな薄さであった。味噌汁、炊飯などそれら一つ一つを少年が無言で運んで来る。途中でしゃもじを落としたようだが謝りもしないし洗おうともしない。おまけに夕食後の風呂は家人が入った後でどろどろに汚れており、「こんなことだから客が来なくなるんだ」と憤慨した僕は無言の抗議をすべく結局風呂に入らず寝床に着いたのである。とまぁ、このような体験をして身も心も打ちひしがれたのであり、当ブログの更新などできようも無かったのである。詳しくは、つげ義春先生作「リアリズムの宿」をご覧頂くとして、冗談はこれくらいにしよう。

 なんだかんだと忙しく、見なければならないアニメ・映画・漫画等々が溜まりに溜まっている。年末年始は帰省の用事も無いのでこれは徐々に消化するとして、だからといって書く事が無いからこの際アニメの話題など辞めて「アメリカ住宅市場の今後の展望について」と言うコラムを生半可な知識でやる訳に行かず、かといって「あれは小学校3年生の夏休みの事だった」などと、さくらももこ風の捏造コラムを書いてはアニオタ保守本流の名が廃るというものである。この際、閑話休題的にカルトアニメの話など致したいのでありますが如何でありましょうや。

 まず、読者諸兄もご存知のように日本アニメ史に残るカルトアニメの金字塔といえば何であろうか。はい、「超越世界」。そう、かのオウム真理教が布教のために作った宣伝アニメであるが、これがまたなんと出来が良いのである。既出で恐縮であるが、まず全編を見た事が無いと言う読者諸兄は是を機に是非ご覧頂きたい。最近、youtubeもニコニコも著作権云々が厳しくなっておりますので、できるなら各種ソフトウェアを使用しての保存をオススメしたいのである。

オウム真理教布教アニメ「超越世界」全編

旧バージョンのOP

上記の全編が新しく作られたバージョンで、下の方が制作年が古いものと思われる。何と言っても最大の見所は麻原彰晃自身が歌を歌うOPにある。これがかなりの美声。古いバージョンのOPには、黒バックに白ゴシック抜きの、市川崑もビックリの「超越神力」の文字。相当のセンスである。


新旧OPに共通の冒頭部分。まるで「風の谷のナウシカ」を思わせる壮大な導入部である。


左)新バージョンOPより麻原尊師。りりしいご尊顔である。右)同OPより。瞑想する尊師の背後に光り輝く鳳凰が飛び立つ。まるで手塚治虫火の鳥を連想させるようである。


左)旧バージョンOPより。後のエヴァンゲリオンにも影響を与えた題字センス。嘘。右)左側が「ああ言えば、じょうゆう」の上祐史浩だと思われる。右側が暴力団員の朝鮮人に殺害された村井秀夫であろう。

で、肝心の本編はと言うと、街で麻原の姿を弟子が見つける。そこで道場に戻ると麻原が居る。さっきそこで見たばかりなのに、と驚く弟子に麻原は「アレは私が解脱した姿だ」と種明かしするという内容。ほかにも、解脱した麻原(透明人間状態)で弟子の話(色恋沙汰)を盗み聞いた麻原が弟子に「君は戒を破ったね、もっと修行しなさい」と説教して弟子が感動する、といった感じで進む。本当はこれ、続編があるのだが削除されたようで見当たらない。続編では、麻原が初めて解脱したときの体験を基にしており、瞑想している麻原の額に光が集まって魂が空中離脱して浮遊を始め、瞬時に地球上のあらゆる場所に行ける様に成ったとか成らないとかそういう類の話である。いずれにせよ、麻原尊師の獲得した「超越神力」が如何に素晴らしいかを物語るエピソードでアニメ全編が統一されている。そして、一般人もオウムに入信して出家して修行すればいつか必ず超越人力が手に入るのであるということを強調て終わる。相変わらず麻原は美声である。


解脱する尊師。肉体から離脱した魂はコンクリートの壁をも難なく突き破るのだ!


解脱した魂であるところの尊師を追いかける弟子AとB。「AUM」のプリントシャツに芸の細かさを感じる。


志村うしろー!解脱した尊師が道場に現れ、弟子の会話を盗み聞く。尊師に隠し事など通用しない。ドイツ参謀本部も真っ青の盗聴術!


トゥルルル・・・(電話着信音)女「ハイ、みち子です」尊師「君は義雄と戒を破っただろう、ドーン!!!!」女「ギャーーーーーーーー!」藤子A先生風の衝撃の瞬間。尊師の盗聴によりみち子の不貞が暴かれる。みち子はシベリア送り、義雄は伊豆に配流されたというのは嘘で、尊師の優しい励ましにより心を入れ変え、修行に励むことを誓うみち子であった。


まぁこんな感じ。しかも、本編のBGMが妙にドラクエっぽい所もマニア心をくすぐる絶妙の演出といえよう。繰り返しになるが、特にOPの出来は秀逸の一言。是非ともカラオケで歌いたいと思うテンポの良さである。これを毎日聞いていると「あ、ほんたうに僕も超越神力をもつてゐるに違いないのではないか」という気持ちになってくるから不思議。


超越神力 全歌詞 詳細はこちら

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人に誰でも隠れてる みんなの心に隠れてる 無明の闇を越えて 超越神力だ 功徳によって サマディによって 修習によって得る世界 悟りによって 解脱によって 自由自在に君は使える 天耳 他人 宿命 天眼 漏尽 天耳 他人 宿命 天眼 漏尽 無明の闇を越えて 超越神力だ

ダルマによって 思念によって 観慧によって自由自在に君は使える 天耳 他人 宿命 天眼 漏尽 天耳 他人 宿命 天眼 漏尽 無明の闇を越えて 超越神力だ

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今後これを越えるカルトアニメはもう出てこないであろう。是非とも、現アーレフには「超越世界2」を作って欲しいものである。麻原には獄中からもう一回声優をやってもらいたい。DVD出たら買うよ(マジで)。



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