ノイタミナ「空中ブランコ」に注目(本気度100%アニメ)

 今期のアニメは面白くないなぁ、等と嘆いたばかりであるが早速訂正をば致したい。10月15日より開始された我らがフジ・「ノイタミナ」枠の『空中ブランコ』というアニメに注目が集まっている。何故注目が集まっているのかと申せば、それは今朝の産経新聞朝刊に書いてあったからであると言うのは嘘で、勝手に管理人が注目しているに過ぎないのである(でも事実各方面で地味に注目されているらしい)が、この作品は原作が小説であり、奥田英朗氏と言う作家さんの直木賞受賞作と言うことなんだそうであるが、管理人はこの作品を含めて奥田英朗氏の作品を何一つ読んだことがないし、今後とも読む予定も無いのでそのつもりでご了承いただきたい。

 この作品、何が画期的かといえば、曰く「ハイブリッド・アニメーション」(実写とアニメの融合)という事である。成る程、確かに画期的ではあるが実写とアニメが融合された作品と言うのは過去にも例があった。管理人が今思いついたのは庵野秀明氏の『彼氏彼女の事情』(1998−1999)等であるが、本作の「ハイブリッド率」はその比ではないし、その洗練度合いも群を抜いていると言えよう。(因みに『彼氏彼女の事情』は余りに実験性を優先しすぎて最終的に作品バランスを欠いてしまった失敗作だと管理人は見ている)しかし、最も特筆すべきは本作の奇抜な色使いを筆頭とした画面演出である。監督の中村健治氏は、『怪 〜ayakashi〜』『モノノ怪』の演出を担当した新進気鋭のアニメーターである。この両作を少しでもご覧になった読者諸兄ならばお分かりのとおり、中村健治氏の演出は異常に際立った色彩感覚にあると言えよう。また、『墓場鬼太郎』のOPにも携わったそうであり、何というかこの3作に共通しているのは微妙な配色具合の奇妙な画面構成が延々と続く、という事ではないであろうか。

 翻って本作は、中村健治氏の初監督作品だそうである。全編を通じて原色ギトギトの古き良き60年代チックな色彩性に圧倒されたかと思えば、まるで印象派絵画のような画面構成に転換したりと、氏の映像的センスがずば抜けているので見ていて疲れるどころかグイグイとその倒錯的な画面に引き込まれてしまう。とにかくこの感性は凄いとしか言いようが無い。時折(いやかなり頻繁に)登場する実写部分は、嫌味になることもなくかといって実験的、という程前衛的でもない。ああ、これが「ハイブリッド・アニメーション」かぁ、と知らず知らずのうちに納得してしまうだけの洗練性と緻密さを兼ね備えている。

 

 これが初監督作品とは正直恐れ入る。小説原作のアニメ化は、わが国において数多くあるが如何せん「単なるアニメ絵化」、つまり小説の内容をアニメ絵としてリニューアルしました、という程度のものが散見される。しかし、何のために小説をアニメーション化するのかという原点を履き違えてはならないと思う。映像的快感や脚本の抜本的再構成が伴わない小説のアニメ化は嘘であろう。繰り返すが私は本作の原作小説を読んだ事は無いが、よもや原作はこの特異な色彩構成を網羅しては居ないだろう。当たり前だがいくら映像的小説表現を心がけようとも、例えば赤とワインレッドとサーモンピンクの違いを殊更に紙面で説明しようとも字数には限界があるからである。正にこれこそが「アニメ化」の真髄ではないだろうか。その意味で、本作『空中ブランコ』の異様な圧倒的映像センスに酔いしれていただきたい。今期自信を持ってお勧めしたい作品である。

*蛇足だが、OPとEDが両方とも「電気グルーヴであると言うのも特筆に値する。昨今のアニメはすぐにデビューしたばかりのバンドやらアーティストやらの曲をテーマに持ってきたがるが両方とも「電気グルーヴ」と言うところに、何よりこの作品の本気度合いを感じずにはいられない。

OPテーマ「Upside Down」by電気グルーヴ
EDテーマ「Shangri-La」by電気グルーヴ
↑素晴らしい。

公式⇒http://www.kuchu-buranko.com/


+なぜか本編には福井謙二アナ(フジ)が度々登場する。何故だか分からないがこの演出も光る。

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