いまハマってる「東京都北区赤羽」


 これ漫画のタイトルなんです。清野とおる先生の「東京都北区赤羽」。ハマってるんです。ジャンル的にはなんというか、ノン・フィクションエッセイ漫画?という感じですけど兎に角面白い。
 東京都北区赤羽(そうあの赤羽です)を舞台にした、どうでも良いといえばどうでも良い、瑣末な珍道中及び珍人物等による日常を丁寧に、緻密に漫画家・言語化している作品。

 街で見かける、変なモノといえば宝島の「VOW」が有名だが、それの「人間版」と言えばわかりやすいか。私が感心してたのは、清野先生の赤羽に対する尋常ならぬ愛というもののほかに、清野先生の人間に対する深い愛が感じられるからである。要するに赤羽を舞台にした奇人・変人探訪記、と言った体になってるが、何のことはない清野とおり先生は、「人が好き」なんだなぁとつくづく思う。人間愛に裏付けされた市井の日本人のドラマが確かに息づいている。1億2千万人居れば1億二千万通りの笑いと涙と小宇宙がある。そんな事を感じさせられる。

 自分の住んでいる街にも、多分これと同じような面白い人がいるが、普段我々はそれらを見過ごすか黙殺して気にもとめないのだろう。これは赤羽で起こっている出来事だが、実は我々のすぐ横で起こりうる出来事を、たんに清野先生が赤羽で拾っているだけの話でもある。それほどまでに「人が好き」でないと、見落としてしまう差異や面白さ、可笑しさ。そこに緻密に着目して言語化する清野先生の温かい人間への目線に、時として涙すら誘う。「この街が好き、この人が好き」。そんなキャッチフレーズがぴったりの同作。今世紀最初の傑作漫画と言っても過言ではない。オススメ。



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