「イムリ」考

 今さらながら最近になって三宅乱丈の『イムリ』(最新13巻)を読了した。無論、数年前から一部の好事家の間では話題になってはいたが、なかなか通読する機会がなかったためである。

 改めて読むと、ある種の異常性を感じさせる漫画である。勿論良い意味でだ。私は三宅乱丈の作品を初めて読んだのでそう思うのかもしれないが、女流作家らしい線の柔らかさと作品の世界観があまりにも乖離していて、ちょっと一見さんを寄せ付けない異常性を放っている。しかし、3巻くらいまで進むと、三宅乱丈のタッチがこの異世界の空気と実にシンクロしている事に気が付かされるのである。

 作品に重ねるのならば、3巻くらいから読者が三宅乱丈の精神世界と「でろでろする」という感じになるのだが、兎も角、昨今の軽薄な萌え系のSFアニメばかり見ていると脳が腐りそうになる現状からすると、「イムリ」の世界は異常なほど突出した輝きと妖しさに満ち満ちている。

 「イムリ」の世界観は、白人とインディアンの対立をオマージュしているようにも思えるし、その中間者である主人公・デュルクはナウシカのようでもあり「もののけ」のサンの様でもあるが、事はそう単純ではない。とにかく、この作品の魅力は読者が三宅乱丈の世界と「でろでろする」事ができるかどうか、という一点に尽きよう。でろでろできれば熱心なファンになるし、出来なければ獣化…もとい「なんか好かんわ」という風になる。かなり読者を選ぶ作品であることは間違いはない。

 「でろでろ」って何?と強い関心を持った方は、是非本作を通読されたい。


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