追悼・臼井儀人先生〜ドラえもんを超えた国民アニメ〜

　読者諸兄も既にご存知のとおり、国民的漫画「クレヨンしんちゃん」の作者、臼井儀人先生の遺体がさる20日に荒船山（群馬・長野両県）で発見された。より正確には9月11日に「登山をする」と告げ行方不明になり、家人より捜索願が出されていた臼井先生の遺体が19日に同山で発見され、遺体検査の結果、20日に臼井先生本人であることが確認されたとの報道である。2009年9月21日現在、警察は自殺・事故・その他を含めて捜査中との事で、本ブログでは憶測も含めた臼井儀人先生の死の原因や各種スポーツ紙などが伝える臼井先生の人間関係などについて触れることはしないが、臼井儀人先生死亡の報が全世界に衝撃を与えたことはいうまでもない。

　ここに、偉大なる故・臼井儀人先生を称え、1分間の紙上黙祷を捧げたい。

　黙祷―。

　さて、クレヨンしんちゃんと言えば「子供に見せたくないアニメ・ナンバーワン」と言う不名誉極まりない称号を与えられた時期があったが、何時の頃からかそのような「世間一般」の評価が変わっていった事は読者諸兄も同意されるのではないだろうか。そのひとつの契機は、2001年公開の劇場版にして世紀の大傑作『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』であったと言うのは論を待たないであろう。

　一方、テレビシリーズは1992年からテレビ朝日系列（毎週金曜19：30-20：00）で放映されている。いつの間にか、直前枠で放送されているドラえもんが「優良アニメ」・クレヨンしんちゃんが「不良アニメ」と言う図式も、いまや逆転を見るほどまでその評価が変わっていった。それは、藤子・F・不二雄先生亡き後のドラえもんが、ひたすら商業主義・事大主義に走り、声優を変え服装を変え脚本を変え、三文ゴシップアニメと成り下がってしまったことに主因があろう。藤子先生の描くドラえもんの原作漫画が痛烈な現代風刺と文明批評を盛り込んでいるのに対し、藤子先生の死後、リニューアル・現代化とさも正統的改変を主張して、携帯電話を登場させジャニーズタレントや話題のお笑い芸人を馬鹿の一つ覚えのようにキャラクター化し、あまつさえ話のオチを低俗で無教養なギャグ等で終始させる現在の「テレビ版改悪ドラえもんもどき」は、正しく現代日本の劣化の象徴であり、無能白痴な商業主義者どもの策動の結果であると断罪するより他無いであろう。（ただし、OP曲だけは良い→詳細2009/1/12記事『夢をかなえてドラえもん』残酷な未来しか待っていない子供達へ』参照）

　一方、クレヨンしんちゃんはあいもかわらずお下品ギャグはそのままに、家族愛・親子愛そして何より人間愛に満ち満ちた正しく「友愛」の作品をずっと継続している。改悪甚だしいゴミの様なドラえもんと、昔から変わらないクレヨンしんちゃん。世間一般の評価が、やがて逆転しつつ現在に至り、いまやドラえもんを超える国民アニメになっていることは至極当然の結果であろう。

　その、愛すべき我等のクレヨンしんちゃんの作者、臼井儀人先生はもうこの世には居られない。臼井先生は「漫画家は万人に夢を与える仕事である」と言う信念の方で、一切マスメディアに顔をお出しになられなかったそうである。どこだかの漫画家が、なんの権利や権限があるのか知らないが、いつのまにか相撲界の大御所評論家のようになって好き放題の戯言をまくし立て政治にまで口を出すようになったり（この人の代表作って何？ホントに漫画描いてるの？）、ゴーマンかます、等と言って中学生の自由研究並みの浅墓な知識で部落解放同盟のプロパガンダ漫画を嬉々として描き続けた福岡の漫画家とはえらい違いである。

　この様に、友愛・慈愛に満ちた「クレヨンしんちゃん」は、臼井先生の死亡と言う惨事を受けて現在のところ漫画連載版・テレビアニメ版共に継続するか否か白紙の状況とのことである。もし、臼井先生亡き後のクレヨンしんちゃんが継続されるならば、願わくば改悪ドラえもんの様な悲しい結果にならないよう切に切に希望する。それが、我々ができる唯一の供養であり残された日本国民としての義務である。臼井先生は天国から、春日部の上空から、この日本の行方をいつまでもいつまでも見守っておられるであろう。合掌。

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臼井儀人先生追悼〜ニコニコアニメ夜話＃1「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
(本編27分)